銀山の里の本尊 成田へ     

(2007年5月14日読売新聞朝刊)



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 世界遺産候補となっている石見銀山にほど近い浄土真宗「光蓮寺」(島根県太田市)の本尊
である阿弥陀如来像が、2月に開山したばかりの成田市加良部の「純心寺」(曽我弘章住職)
に遷座されることになった。過疎化や檀家の高齢化で光蓮寺の維持が困難になったことに伴
い、太田市出身で現在は富里市に住む島田秋子さん(62)の仲立ちで実現。光蓮寺の50〜8
0歳代の門信徒13人が15日、約1000キロの距離を一夜かけてバスで移動し、自分たちの
手で安置する。

 石見銀山は、戦国時代から江戸時代にかけて世界有数の銀の産出量を誇ったことで知ら
れ、ここで採掘された良質な銀で作られた貨幣は広く東アジアで流通した。光蓮寺は約330年
前、銀山のふもとにあった鉱石を掘る銀山衆(作業員)らが住む集落で開山。15代に及ぶ住
職のもとで長く地元民に親しまれ、第二次大戦中に鉱山がその歴史に幕を下ろした後も、寺で
は日曜日に小学生を集めて講和が行われたり子供会の会場として利用されたりしてきた。

 しかし、1970年代以降は過疎化が進み、檀家数が減少。10年ほど前には恒例だった夏の
盆踊りが中止になり、2002年からは近くの寺の住職が代務していた。

 そんな中、2005年秋に純心寺の前身である富里市内の布教所を参拝した島田さんが、布
教所には曽我住職が個人的に所有していた小さな本尊しか祭られていないことを知り、近年
は十分に手入れされていなかった光蓮寺の本尊を遷座することを提案。これに対し光蓮寺側
は2月に「よりたくさんの人に大切にしてもらいたい」と了承し、受け入れる側の曽我住職も「シ
ルクロードをたどってきた仏教伝来の旅のよう。本尊を離郷させなくてはならない門徒の思いを
受け止めたい」と応じることを決めた。

 本尊については当初、航空機で運ぶ計画もあったが、「貨物室に入れて粗末にしたくない」と
陸路に変更。長時間のバス移動となったが、高齢の門信徒も「ご本尊との最後の別れだから」
と参加するという。本尊が安置されたいた壇なども京都府内の仏具屋で修理され、移設され
る。

 光蓮寺の門徒総代の広山勝秀さん(65)は「先祖代々の長いお付き合い。最後までお供した
い」と話している。


※石見銀山は平成19年7月に世界遺産に登録されました。  





浄土真宗本願寺派  純心寺 (西本願寺)

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