悪人正機 「歎異抄第三条」     
 

「お釈迦さま物語(釈迦如来の教えと阿弥陀如来の救い)」
http://www.junshinji.org/osyakasamamonogatari.htmlより抜粋
 

                         
意訳 純心寺住職 曽我弘章 


 

 

(4)〈歎異抄第三条〉 「善人でさえも、お浄土に往生することができるのです。そうであれば、なおのこと悪人の往生は間違いがありません。ところが世の中の人々は、『悪人でさえ往生をさせていただけるのだから、まして善人はいうまでもないことです』と言っています。
 この言い分は一応もっともなようですが、『煩悩のために苦しむ衆生をどうしても助けたい』という阿弥陀さまのお気持ちには背いています。

 そのわけは、善い行いをして自分の力でお浄土へ往生をしようとする人は、自分を正当化し、自分の力を信じるがゆえに、『そのままのあなたをどうしても助けたい』という阿弥陀さまのお気持ちにまだ気づいていないからです。
 しかし、「あなたを必ず助けます。私に帰しなさい」と、すべてのいのちに分け隔てなく呼びかけられる阿弥陀さまのお心に気づけば、どんなに罪の重さに心が痛んでいても、誰でも阿弥陀さまによって必ずお浄土に救い取られるのです。

 あらゆる煩悩を身にそなえている私たちは、どのように自分の力で善い行いを積んでみても、結局迷いから離れることはできません。
 阿弥陀さまはそのことを心底あわれにお思いになって、『どうしても力のないものを助けよう』と本願をおこしてくださったのです。

 その本願のご本意は、自分で善い行いが積めると思っている善人よりも、自らの内側にある心の闇を見つめて、『私は、いくら善い行いを積んでも、結局のところ救われ難き罪も煩悩もあり余るほど具わっている悪人です』と打ちひしがれているものに対して、ことに、『安心しなさい。私が、あなたを必ず助けます』というお気持ちですから、その阿弥陀さまのお心に気づいてすべてをまかせきった悪人こそ最初にお浄土に往生をすべき人です。
 そこで、善人でさえも往生をさせていただくのだから、まして悪人はなおさらのことです」と、親鸞さまは仰せられたのです。




   


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