それは、釈迦如来(お釈迦さま)がラージャグリハ(王舎城)の霊鷲山に住まわれていたときのことです。
「私がこの世に生まれてきた目的は、すべてのいのちを仏にしたいという願いを起こし、その願いを成就された仏さまの存在を伝えるためです。その仏さまが法蔵という名の菩薩であられたとき・・・・・」と、語りはじめられました。
法蔵菩薩は、衆生を見つめられました。そして、苦悩するものを救い取って仏にする願いを起こされました(本願)。どうすれば助けることができるだろうかと考え続けられました(五劫思惟之摂受)。
そして、私たちのすべてを知り尽くされたうえで、「そのままのあなたを助けます」と一切の条件をつけないで救い取ることを誓われ(誓願)、言葉では言い表せない、それはそれはたいへんなご苦労を重ねられました。
その結果、法蔵菩薩は衆生救済の願いを成就されて阿弥陀如来(阿弥陀さま)となられ、安らかで浄らかなお浄土(極楽浄土)を設けるにいたられました。
阿弥陀さまは、「私の声が聞こえますか。私はあなたを必ず救います」と約束してくださいました。そして、自らの名をもって呼びかけられました(名号)。「南無阿弥陀仏」と。
ついに、法蔵菩薩の大いなる願いであった衆生救済活動が始まったのです。
縁によって生まれ、縁によって生き、そして縁によって生涯を終えるのが自然な人生です。しかしながら、生きることに苦しんでいる人がいます。死を受け入れられないで苦しんでいる人がいます。
この世に生まれた本当の幸せというものに遇えなくて、どこに救いの価値がありましょう。救いを求めるままで終わる人生は悲しいです。私たちには、現在においてこそ救いが必要なのです。
お釈迦さまは、苦しみ、悩み、悲しみの原因を明らかにされました。
そして、「衆生を、必ず仏にします」と誓われて阿弥陀さまとなられた法蔵菩薩のお心、真実の願い(本願)を知らされました(仏説無量寿経)。 私たちがすでに、量り知れない光といのちの中に生かされていることを教えてくださいました。
そのときから、「あなたを、必ず幸せにします」と仰せられる阿弥陀さまと、自分の力で苦悩を断ち切ろうとしても、結局迷いから離れることができないものが、「絶対に見捨てません(摂取不捨)」というお呼び声によって固い絆で結ばれました。
お釈迦さまは、